屋久島 冬の宮之浦岳

昨年に引き続き、また同時期に屋久島へ足を運びました。

今年は国内全域で、近年まれに見るほどの暖冬。

九州で雪の降る地域はほとんどなく、降ったとしても山沿いのみという状態でした。

昨年訪れた際は寒波と重なり、宮之浦岳の山頂付近は猛吹雪でした。

今年は、雪の屋久島は諦めていました。

ところが、予定日の先日に寒波に見舞われ、雪景色が期待できる山行きとなりました。

屋久島に着くとまずは情報収集。

今回のルートは淀川登山口から宮之浦岳山頂への最短コース。

登山口にいけるかどうかが一番の鍵です。

というのも路面凍結のために、登山口までのバスが運休になる可能性があるのです。

予想通り運休。

しかし、屋久島にお住まいの大変お世話になっているご夫婦に、通行止めになっている場所まで送っていただきました。お昼までご馳走になり、本当に感謝感謝です。

通行止め地点まで来たはいいものの、淀川登山口まで坂道8キロ。

今回の荷物は機材多めで20キロ弱であったため、これが地味にきつい。

気温はそこまで低くはなく、インナー1枚で登れるほど。

登山口に近づいていくにつれ、路面が白く染まってきました。

雪が出てきてトレースをいくつか発見。鹿が数匹と人間2匹といったところでしょうか。

この時期に先に登っている人がいるとは。物好きな人がいるもんだ、とニヤリ。

そして無事、登山口に到着。ここから1時間ほど歩いて本日の宿である淀川小屋に到着。

到着したころには日が落ちて暗がりの森の中。18時前かな?

泊まる人は一人もいませんでした。

広々とした古屋を独占、準備してきた鶏団子鍋で体をあたためアタックに備えます。

気づけばかなり気温も下がり、寝るときには氷点下に達していました。

20時すぎに就寝。3時前に起床。

荷物をアタック用の軽量ザックに切り替えピークを目指しました。

しばらくは暗がりの中をひたすら進みました。

降り積もる雪の量は次第に増えていき、多いところでは15センチでしょうか?

しかし雪も新しく、チェーンスパイクだけで登れる程度です。

ピークに近づくと明るくなってくると同時に、ものすごい強風。

雪が降らなかっただけまだマシで、雲が晴れる様子は一向にありませんでした。

風景も先までの森の雰囲気とは一変し、ユニークな形状の巨岩がいたるところに転がる不思議な光景。

強風にさらされながら無事にピークに到着。

空もだいぶ明るくなり、限られた時間で写真を撮り続けました。

冷たい強風を浴びて巨岩が凍り付いていました。

曇天のせいもあって、ものすごい無機質で淡色な世界。

記憶の中の色合いはほぼグレー。

巨岩の隙間に祠も見つけました。

山頂の、一番大きな岩の間にひっそりと。

大事なものはできるだけ奥に、見えにくいところに。

幼い頃に大事なものとか秘密なものを引き出しの奥に隠したように。

いつものように、気づけば時間が経ち、下山に残された時間がぎりぎり。

バスの運休のために、またあの予想外の8キロを歩いてバス停に定刻までに

つかないと、里まで戻れなくなってしまう。

急いで下山を始めるも、行きでは見れなかった風景に目を奪われ

つい写真を撮ってしまう。

山頂付近では遠くに青い海も臨むことができました。

なんとか小屋までもどり、支度をしてまた下る。

気づけばバスの定刻が危うい。

帰りの8キロはずっと早歩きで、足がガクガク。

無事にバス停までたどり着き、里に戻ることができました。

アタックよりも遥かにきつい下山となりました。

次は桜の咲く屋久島に行きたい。冬はもちろん。

keigo kawaida

1991年宮崎生まれ。熊本大学卒業後、フリーカメラマンとして九州内で活動。2019年に沖縄に移住し、作品制作に注力し始める。撮影テーマに拘らず、自らの好奇心や感情の流動的な変化に忠実な撮影を続けている。

0コメント

  • 1000 / 1000