屋久島 巨樹の森の冬
先週は、日本全国を襲った寒波が九州まで上陸し、それに合わせて屋久島へ行ってきました。。1993年に世界遺産に登録された周囲130kmとかなり大きな島です。今回は、雪の白さと苔の緑のコントラストの美を求めて撮影を決めました。
今回のルートは縄文杉までの往復で、縄文杉そばの高塚小屋に一泊して撮影しました。
出発の2日前までは、屋久島最高峰の宮之浦岳の登頂を考えていましたが、悪天候で単独だと危険を伴うため断念しました。
屋久島は鹿児島港から高速船(トッピー)で南へおよそ2時間。平地は沖縄のような温暖な気候であるため1月にヒガンザクラは満開を迎える一方で、九州最高峰(1936m)の宮之浦岳を中心として鋭い山々に溢れており、宮之浦岳山頂付近の年間平均気温は北海道と変わらないという気候です。つまり、沖縄から北海道までの植生が一挙に集合している不思議な島です。私が行った日も山中は雪が積もっており、山小屋で泊まっている間にもかなりの雪が降ったようでした。
また、雨量も相当なもので、たとえ話ではありますが、月に35日雨が降ると言われています。それも相まっておよそ600種類の苔が群生しており、その苔むす緑の森の美しさから、宮崎駿監督のもののけ姫のモデルともなっています。
山の奥の方へ進むと、屋久杉と呼ばれる樹齢数千年の巨樹が立ち並び、道ゆく者の視線を奪います。屋久島の杉はなぜそんなに長生きなのか?一説では、雨が非常に多いことと、土壌が浅く根を張ることが難しかったために、その幹を強くしていったことが長寿の秘訣だと言われているようです。心根がしっかりしていないから表向きを強く見せようとしてしまう、そんな傾向が人間にも見られるような気がして、なんだか面白くなりました。
特に50年前に発見された、縄文杉と呼ばれる現在屋久島で発見されているものの中で最も樹齢が長いとされているもの杉は、驚くことに推定樹齢7200年。その圧倒的な存在感の前には、つい拝みたくなるような神聖を身に纏っています。日本で神道などのアニミズム的な宗教が発展したのも、災害を含めこういった自然の圧倒的な存在があったからだろうな、などと縄文杉をみて納得させられました。
雪も一晩のうちに降ったようで、縄文杉の雪景色は貴重な光景だったと思います。
ここに朝陽があたり、雪と縄文杉が赤く輝く光景を夢見ていましたが、思うようにいかないから”自然”です。また来年の厳冬期に縄文杉そばの山小屋に2〜3泊して、その光景を撮りたいと決意しました。
最後に、屋久島は落差80mの力強い滝や、ウミガメの産卵も見られる美しい浜もあり、鹿や猿は人間よりも多い数がいるそうで、大自然の展覧会のような島となっています。どの季節に行っても様々な楽しみ方があるかと思います。大阪や東京からの飛行機も出ているので(バニラエアで格安でいけるはず)、気軽に羽を伸ばしたいときなどオススメです。縄文杉までの往復は11時間ほどの時間を要しますが、行かれた際にはぜひチャレンジしていただきたいです。荘厳かつ優しさにあふれる屋久島から、大きなエネルギーを存分に戴くことができるはずです。
0コメント